2013年10月25日金曜日

液状化対策について

木造住宅の液状化被害が大きく注目されたのは東日本大震災の時でした。
液状化被害は建物倒壊のように直接的に人命を奪うことは少ないようですが、
家が傾き補修したり、傾きが大きく補修ができないなど様々な被害があります。

この液状化ですが、意外とメカニズムが理解されていません。
「地下水位の高い砂質地盤で液状化は発生する」程度のことは知っている方は多いのですが、もう少しだけメカニズムを理解すると液状化対策が見えてきます・・。

*ここでは、地盤の難し専門用語を使うと理解できなくなる恐れがあるので、一般の方でもわかりやすい言葉で説明します。

地下水位の高い砂質地盤とは、砂の粒と粒の間に地下水がある状態で安定している地盤のことです。
砂の粒同士は手を繋ぐようにつながっていて、その輪の中に地下水が囲まれています。
そんの地盤に地震が発生すると、砂の粒同士の輪が地震で揺らされ輪の形が変形します。
すると輪に囲まれていた地下水が圧縮されて水圧が上がります。
この地下水の水圧が大きくなると砂の粒が繋いでいる手が離れてしまい砂の粒は地下水に浮いた状態になります。これが液状化の瞬間です。
地下水に浮遊している砂の粒は沈んでいきます。
比重の大きい砂は下に沈み、比重の小さな地下水は地表面に溢れます。

この現象により、地表面の地盤支持力が不足し建物は傾いてしまいます・・。
これが液状化のメカニズムです。

そこで、液状化対策を考えます。
メカニズムが理解できていれば、液状化対策も理解できてきます。
木造住宅の液状化対策は、下記の通りです。
①液状化の発生を防止するまたは、液状化の程度を軽減する
 →矢板やコンクリート製の壁を地盤内に構築し、地盤を拘束してしまう
 →表層改良等により堅固な地盤で液状化を抑える
 →盛土を行い盛土重量で砂の間の地下水を抜いてしまう

③基礎等を頑丈にして液状化に抵抗できるようにする
 →構造計算した剛性の高いべた基礎にして液状化により基礎の
   折れ曲りを防止する
 
 
 →液状化する層の下層まで到達させた柱状改良や鋼管杭等で補強する
   地盤表層部が水層になり、水がなくなると空隙になることもあります。
   その際、自立できる杭状補強であることが条件です。

最近目立つ液状化対策はおかしなものが多いですね。
液状化のメカニズムを広い視野で見ず、ごく小さな部分のみをクローズアップして、あたかも液状化に有効な対策工法と誤認させています。
意外と、開発者や設計者、販売している方は騙しているつもりは無く、ただ、液状化のメカニズムや建物の構造について知らないだけかのかもしれません・・。

液状化は設計者がしっかりと理解し、本当に有効な対策工法を採用するようにしてください。

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